ろ過とバクテリア

一般に有機物と呼ばれる物質の中にはタンパク質、炭水化物、脂肪などがあります。
しかしアクアリウムにおいてのろ過ではタンパク質の事だけが取り上げられています。
それはなぜでしょう??

タンパク質

炭水化物

脂肪

上の図はそれぞれの構成元素です。炭水化物は酸素、水素、炭素から成るのに対し、タンパク質はさらにリンと窒素を含みます。実はこの窒素こそがろ過をしなくてはならない大きな理由です。

⇒ アミノ酸 ⇒ ヒドロキシルアミン ⇒ アンモニア ⇒ 亜硝酸 ⇒ 硝酸塩 
                 NH2OH       NH3   NO2    N03
CO2+H2                 
                              
CO2+H2

タンパク質

炭水化物

  脂肪

残餌
フン
死骸

上の図のように炭水化物と脂肪は加水分解されて二酸化炭素と水に変わるのに対し、タンパク質はヒドロキシルアミンという物質を経てアンモニアへと変化します。窒素(N)の化合物は生物に対して毒性が高い上、Nが水槽中から消えることはありません。そこで比較的無害である硝酸塩へと変えるために生物ろ過(硝化)が行われるのです。

もうひとつ重要なことはこれら全ての反応においてpHが下がる傾向にあるということです。pHの話で詳しく触れていますが、硝化反応の時に発生する水素イオン、加水分解で生じる二酸化炭素はどちらも海水中のpHを下げることになります。実際に二酸化炭素はサンゴや海草類の光合成にも利用されますが、生物ろ過だけに依存したろ過システムの場合にpHが下がってしまうのは、硝化バクテリアが活発に働けば働くほど仕方のないことと言えます。

まとめ
生物ろ過は硝化バクテリアの働きを利用してアンモニアを硝酸へと変えます。生物にとって比較的無害な硝酸塩も大量に蓄積すると害が出始めます。またサンゴ類は硝酸塩を嫌う(弱い)種類が多いのも事実です。そこで硝酸塩を水槽から取り除く為に水換えを行います。単純に言うと、半分水換えをすれば硝酸塩濃度は半分になります。しかし水換え作業は楽ではなく長く楽しむ趣味としてのネックとなることもあり、最近では還元バクテリアの働きを利用して硝酸塩を窒素ガスへと変えて水槽外へ出す考え方が普及しはじめ、デニトレーター、窒素還元などという言葉をよく耳にするようになりました。還元バクテリアは酸素がないところでは硝酸塩、亜硝酸から酸素を奪い窒素へと変えてゆきます。しかし硝酸塩がゼロになると今度は硫酸を還元するため硫化水素が発生します。正しい知識が無いと一夜にして水槽全滅という事にも成りかねません。

3H+